個人投資家となってからは月間収支がマイナスとなったのは1ヶ月だけですが、2014年4月~2015年9月の証券ディーラー時代はまったく勝つことができませんでした。あまり思い出したくないことも多いですが、専業トレーダー目指して努力しているのに中々結果が出ず苦しんでいる人へ参考になる内容もあると思い、当時を振り返ってみました。
証券ディーラーに興味がある人へ。2014年4月~2015年9月と10年近く前の内容なので情報としては古いです。また、会社や雇用形態によって教育方針やルールは違いますので、(嘘は書いていませんが)鵜呑みにはしないでください。
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入社してからの経緯
早速入社してからクビになるまでの経緯についてお伝えしていきます。
クビの条件
条件は人によって全然違いますが、自分は当初トータルで300万のマイナスを出したらクビになる、という取り決めでした。資金は1億円使えたので、銘柄選別や地合いが悪い時だと、資金をフルに使ったら300万円なんて1日で動く金額です。
今となってはそれだけの資金があれば色んな戦い方はできますが、当時はその資金を有効活用することはまったくできませんでした。
証券ディーラー時代の一日
基本的には儲かっていれば自由って感じでしたが、ミーティングの時間には出社をすることや、私服でも良いが短パンはNGといった最低限のルールはありました。
- 7時~8時頃に出社 パソコン立ち上げて9時までは仕事の準備
- 8時半頃にミーティング(1人ずつその日の戦略などを述べる)
- 9時~11時半 前場
- 11時半~12時半 昼休み
- 12時半~15時 後場
- 15時~ 引け後は反省や明日の準備など
- 15時半のミーティングが終わればいつ帰ってもOK(遅い人で18時頃まで滞在)
入社から現在までの大まかな経緯について
- (2012年12月に株式投資を始める)
- (2014年1~3月の入社前に練習がてら個人でデイトレをして約50万円の負け)
- 2014年4月入社~2015年9月にクビ⇒在籍中トータルのマイナス額は300~400万円
- 2015年10月より個人投資家に⇒お金がなくて資金50万円でスタート
- 2016,2017年は板読みデイトレードで稼ぐ
- 2018年頃から新たな手法を開発してそちらがメイン手法となる
- 2019年末から長期投資として優待・配当株とバリュー株、成長株投資を始める
- 2020年の波乱相場が手法とマッチして年間収益が初めて1,000万円を超える
- 2023年現在、個人投資家になってからのトータル収益は+8,000万円を達成
⇒2016年~2022年までの具体的な年間トレード収益をチェックする
証券ディーラー中は毎月給料を貰っていましたし、トレードツールを使用するにも当然費用はかかります。なので1年半で実際には1,000万円近くの損害を会社に計上させていると思います。
入社1ヶ月目は1単元でデイトレ
入社1カ月目は先輩ディーラーのトレードを見学後に1単元(100株)のみでデイトレードを行うことになりました。持ち越しポジも3銘柄くらい作っていた記憶があります。入社1カ月目に記憶していることは、発注端末(インタートレード)の使いやすさと株でご飯を食べるのは無理かも、と思ったことでした。
そもそも入社前に3ヶ月間個人でデイトレードをしていた時からまったく手ごたえが掴めず、何をやっても勝てない状態でした。それでも証券ディーラーにさえなれば、そこでは”凄い”トレードツールが使えたり、個人投資家以上の情報が取得できたり、先輩ディーラーから教わったりして勝てるようになるかも、なんて今思うととんでもなくバカなことを考えていました。
当時はなぜか松井証券ではなくSMBC日興証券でデイトレードをしていたのでトレードツールは格段に使いやすくなりましたが、それだけで勝てるようにはなりません。もちろん内部情報なんて得られるわけもありませんし、そもそも得られたところでそれを自分のトレードに活かす技術もありませんでした。
今思えばこの時に先輩ディーラーにたくさん質問をするべきだったのですが、当時は勉強の仕方すらわからない状態で、何を質問したらいいかがわかりませんでした。勝ちたい気持ちはあるけども、勝つ為に何が必要かがわからないので、恵まれた環境にいるにも関わらず会社に行って一人でデイトレードをしていました。
勉強と言うと本を読んでいたくらいですが、この時何度も繰り返し読んた”デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術”は今でも読み返すことがあるくらい学びのある本です。
2ヶ月目に板読みデイトレード手法を発見
勝ったり負けたり負けたりで、入社1ヶ月目はマイナス数万円という結果に。いずれはノルマ(固定費)も発生するのに、月間収支でプラスすら作れないなら早ければ3ヶ月でクビかなあ…なんて悲観的なことばかり考えていました。
2ヶ月目はロットを3単元まで増やしてもよくなりましたが、勝てていないのにロットを増やしても損失の増える速度が上がるだけだと思い、変わらず1単元でやることが多かったです。月間収支プラスを目標にして、1ヶ月目はトヨタばかり触っていたのですが、2ヶ月目は色んな銘柄を触るようにしました。
その中で見つけたのがREIT銘柄。当時のREIT銘柄はアルゴがあまりいなかったこともあり、2~5ティックのスプレッドがある銘柄ばかりでした。これを発見したことで、スプレッドの最安値で指値買いをいれて、約定後にスプレッドの最高値に売り注文をいれたら簡単に儲かるのでは?と考えました。これが個人投資家2016,2017年のメイン手法となった板読みデイトレードの始まりです。結果的に2ヶ月目は+10万弱の結果でした。
REIT銘柄のスプを狙う手法は今はアルゴが邪魔してくるので無理です。やってみたらわかると思います。
3ヶ月目に安定してプラスは作れたが…
そして3ヶ月目はロットを5単元まで増やせるようになり、REIT銘柄を狙ってデイトレードをしました。スプレッドを狙う手法は自分の性格にもあっていたのか、安定して稼ぐことができて3ヶ月目は+30万の結果となりました。負けた日も少なかったと記憶しています。3ヶ月が終わったタイミングで持ち越しやロットはほぼ自由になりました。
100万のノルマが重たかった
ようやくまともなプラスとなって嬉しかったかというと、全然でした。というのもいずれは毎月100万円というノルマが待っていたからです。REIT銘柄のスプレッドを狙う手法だと今後も安定して稼げそうではありましたが、月に100万稼ぐのは厳しいなとも感じていました。
そもそも100万円というのはただの通過点でして、毎月100万しか稼げないようだとインセンティブは発生しないので証券ディーラーをやるメリットはありません。個人であれば毎月安定して100万円稼げたら十分ですが、証券ディーラーでしたらクビにならないってだけで意味のある数字ではありません。
じゃあどうやったら月に100万円以上を稼げるのか?次はこれを考える必要がありました。
ノルマが100万円というのは、毎月-100万スタートすると考えるとわかりやすいです。100万稼いでようやくトントン。そこから稼いだ額の一部がインセンティブ(成果報酬)となります。
4ヶ月以降は月間収支マイナスが当たり前に
4ヶ月目以降はあまり記憶に残っていないのですが、クビになる最終月以外はほとんど月間収支はマイナスか、良くてトントンだったと思います。数字を見るのも嫌な日が最後まで続きました。あまりのストレスで1ヶ月以上咳が止まらなかったのを覚えています。月100万稼ぐためにさまざまな手法を試してみましたが、何をしてもうまくいかずまったく勝つことができませんでした。
いつクビを切られるかわからないので求人を見たり、毎月生活費が赤字だったので副業を探したり、株で勝たなければとは思いつつもクビになる可能性が高すぎたので次の道も探していました。ちなみに株が駄目だったら不動産のお仕事をするつもりでした。
勉強の仕方が最後までわからなかった
今思うと当時は必勝法を探していたんだろうなと思います。「こうすれば勝てる」とか「このパターンだと次はこうなる」みたいなのを必死に探していて、株で勝つ為の当たり前のことすらわかっていませんでした。
手法は手段でしかなくて、それがあったところで短期的には勝てても、勝ち続けることはできません。株じゃなくて、将棋とか格闘ゲームとか麻雀だとわかりやすいと思います。プロに教わったからと言って明日から常勝できるわけありませんよね。株も同じです。
日々変わっていく相場に対応する能力が必要です。デイトレードであれば今日は強い相場だから強気にポジションを作っていくとか、今日は下げ相場だから急落後のリバウンドを狙っていくとか、優位性のある手法があったとしても相場にあわせて使い分けていく必要があります。これに気付けたのは個人投資家になってからでした。
現実逃避中に本来ならクビに
そして1年5ヶ月くらいたった時に1年半のタイミングで絶対に切られるだろうなと思ったので、もう努力しても仕方ないと思って有給使って8月のお盆休みに地元へ戻り友達と旅行(現実逃避)をしていました。
ちなみにこの期間に日経平均は短期的に大きく下げていたので、会社にいたらその時点でクビを切られていたと思います。自分が戻ったタイミングには日経平均が戻していたこともあって、なぜかセーフの状態でした。
最終月は個人で戦うことを想定
会社には申し訳ないと思いつつも諦めの気持ちがついたのかポジションを全決済し、最終月はクビになった後に個人でデイトレードすることを想定して、少額資金でどうやって勝つか?を考えながらトレードをすることに決めました。そんな時に思い出したのが入社2ヶ月目に見つけた板読みデイトレード手法です。
板読みデイトレードなら少額資金でもできるし安定して勝つことができていたので実践することに。この時はREIT株ではなくマザーズやジャスダック市場(今で言うグロース市場)からデイトレ銘柄を探していました。当時は6619ダブルスコープがとてもやりやすかった記憶があります。
久々にやり始めた手法だったので噛み合わないことも多かったのですが、9月の途中までに20万近くの利益を作ることができ、これなら個人投資家になってもやっていけるなと手ごたえを感じていました。9月末までは在籍できると思っていましたが、途中で呼び出しをされて売買停止(クビ)を宣告されました。
2015年10月より個人投資家に
クビに関しては覚悟していたことなのでショックとかそんな気持ちはまったくなくて、会社に貢献できなかったことと当時の部長にそんなことを言わせてしまったのが申し訳なかったです。
2015年10月から個人でデイトレードを始めることを決めていましたが、当時はお金が100万弱しかなくて、一人暮らしをしていたこともあり稼げなければすぐに資金ショートする状態でした。なので3ヶ月だけやってみて、稼げる見込みがなければきっぱり諦めて他の仕事を始めるつもりでした。
具体的には1日2万円のプラスを目標とし、安定して月40万円以上を稼ぐこと。この数字が達成できないようであれば普通に働いた方が稼げるからです。↓が2015年10月から10か月間の結果です。2016年2月以降は安定して月収40万円を稼げています。
デイトレード月間収益 | |
2015年10月 | +137,810円 |
2015年11月 | +127,407円 |
2015年12月 | +276,417円 |
2016年1月 | +342,639円 |
2016年2月 | +461,579円 |
2016年3月 | +498,171円 |
2016年4月 | +698,341円 |
2016年5月 | +722,257円 |
2016年6月 | +831,892円 |
2016年7月 | +572,941円 |
2015年10月以降でトレードの月間収益がマイナスになったのは1ヶ月だけで、2019年8月に-449,471円という結果でした。当時は個別株のロングショート戦略をやっていましたがあまり上手くいかず、一旦ポジションを全決済したことで大きなマイナスとなりました。
⇒2016年~2022年までの具体的な年間トレード収益をチェックする
当時を振り返って思うこと
ここからは当時を振り返って今思うことをお伝えしていきます。
苦しかったけど楽しかった
給料もらいながら株をやらせてもらっているのにまったく勝てなくてメンタル的には死ぬほどしんどかったですが、不思議と楽しい思い出の方が強いです。勝てなくても好きなことを仕事にしていたってのもありますし、たまにある同期との飲み会での株談議が何よりの楽しみでした。
会社にいる時は自分から話しかけにいかなければ、挨拶とミーティングでの発言以外では一切誰とも関わらないことが普通だったので、飲み会があったのは本当に救われていたなと思います。
最悪でも貯金がゼロになるだけ
正社員(メーカー技術職)という立場を捨てて東京で一人暮らしを始めて、毎月生活費は赤字で早けりゃ半年でクビになる。人には絶対おすすめできない人生を選択しました。よく親が許してくれたなと思います。
ただ20代と若かったこともあり駄目でもすぐ他業種に転職できる、と楽観していた部分もあります。最悪でも2年働いて貯めた貯金200万が溶けるだけだからたいしたことないかな、と考えていました。
運よく今も株でご飯を食べることはできていますが、もし個人で始めたデイトレードが上手くいかなくても、他の仕事をそこそこ楽しみながらこなしていたんじゃないかなと思っています。
やっぱりこういう”挑戦”は若い人の特権だと思います。若い間であればいくらでも取り返しがつくので、何か挑戦したい人はやってみた方がいいんじゃないかと思います。ただし、逃げ道は必ず作っておきましょう。駄目だった時の取り返しがつかないからです。
急に勝てるようになった理由
個人投資家になってから急に勝てるようになった要因は2つあると考えています。
- 板読みデイトレードが自分にはあっていた
- 月100万ノルマや使える資金が1億円というプレッシャーがなくなった
トレードで勝つ為には自分の性格にあった手法を見つけることが大切です。板読みデイトレードで月100万稼ぐことは厳しいですが、月50万くらいでしたら(当時は)それほど難しくありませんでした。個人投資家になってからは生活費を稼げればいいといったスタンスで相場に向き合えたので、自分の性格にあったこつこつ稼げる板読みデイトレード手法を実践できたことは大きかったです。
後は1億円の運用方法が最後までわかりませんでした。今だとそこそこ上手く使いこなせる自信はありますが、当時は全然駄目でした。個人投資家になってからしばらくは50万円の資金しかなく、できることは板読みデイトレードしかなかったので迷うことはありませんでした。
専業トレーダー・証券ディーラーを目指す人に伝えたいこと
それでは最後に専業トレーダーや証券ディーラーを目指す人に伝えたいことがあります。自分は成功者でもなんでもなくて、ただ株で人よりほんの少し稼げているだけではありますが、10年弱この世界で生き残ってきた経験から伝えたいことがあります。
逃げ道を作っておく
何度も言っていますが必ず逃げ道を作っておいてください。専業トレーダーや証券ディーラーは命をかけるくらいの覚悟がなければ正直成功は難しいと思いますが、それでも駄目だった時のことを必ず考えておいてください。というのも株の経験というのは他業種にはまったく活きないからです。要は潰しの効かない仕事だということです。
例えば自分は株が駄目だった時に不動産の仕事をするつもりだったので宅建の勉強をしたり、中古家電の販売やブログ・YouTubeで他の収入源を得たりと、その時々によって逃げ道の用意やリスクヘッジをしてきています。勝った負けたの世界ですから、いつ自分が負ける側になるかわからないからです。
自分の性格にあったトレード手法を身に付ける
自分の性格に合ったトレード手法が見つかると結果は大きく変わります。例えば僕は板読みデイトレードと出会ってからは勝ち続けています。びびりな性格で大きなリスクが取れないので、大きくは稼げないけど毎日コツコツプラスを積み重ねる手法が自分にはあっています。今現在も大勝することは少ないですが、ほぼ毎日プラス収支です。
こんな感じで自分の性格にあったトレード手法を身に付けてください。身に付け方…と言いますか、トレード手法に関して今は本やブログでたくさん情報発信されているので、興味があるものを片っ端から読んでください。面白そうな手法があれば実践で試してみて、自分の性格にあってそうであれば改良して自分だけの手法を作り上げてください。
おすすめ本をいくつか紹介します。
評価損額や扱える資金量でその人のレベルがわかる
自分の許容範囲を超えるリスクを取っていると勝つことは難しいです。評価損が大きくなると思考停止してしまい、普段通りのトレードができなくなってしまうからです。証券ディーラー時代の自分がまさにこれでした。ポジションが大きすぎて相場が少し動くだけで評価損が30万とか50万増えてしまい、何をしていいかわからなくなってしまったことが何度もあります。
「ギャンブルの損失額の8割は熱くなってから」という言葉がありますが、これは株にも当てはまると考えています。常に冷静にトレードする為にも、自分の許容できる限界を知っておいてください。その限界を超えたリスクを取ってトレードをしている人は、いずれ退場レベルの大きな損失を計上することになります。
実力は少しずつついていくもの
実力は知らない間に少しずつついていくものです。トレードで勝てていない期間は何度も絶望的な気持ちになると思います。そんな人に読んで欲しい文章があります。僕自身も過去何十回と読みました。
何ひとつうまくいかず、すべての選択の結果に自らの未熟さを思い知らされた時に、自らが成長しているとは思えないかもしれないが、こうした困難から這い上がってくるたびに大きな成長を遂げているのである。困難から這い上がってくる能力自体がその証である。トレーダーとして成長するには、心底トレーディングをやめたくなるような日を耐え忍んで明日を迎える経験が不可欠である、勝つためには継続しなければならないということを決して忘れてはならない。
デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術NO.1467より引用
人と関わる趣味を一つ持っておく
性格によって変わると思いますが、株でご飯を食べるということは、仕事をする上では誰とも関わらないということです。それが平気な人であればいいですが、1ヶ月間まったく人と関わらないとおかしくなってくる人であれば、何かしら人と関わる趣味を作っておきましょう。自分は2016年に2週間まったく人と関わらない生活をしていた時に精神的におかしくなりそうだったので、ここは結構意識するようにしています。
東京に住んでいる時はダンスと登山の趣味があったので、土日はなるべく外に出るようにしました。結婚を機に高知県に住んでからは妻や子供が家にいますし、登山の趣味は継続してやっています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
僕自身の過去を赤裸々に語らせていただきました。株は向き不向きのある世界で努力しても誰もが上手くいくわけではありません。でもほんの少しの”気付き”がきっかけで僕みたいに負け続けた人間が勝ち続けられることもあります。失敗談だけではなく失敗から得たことも書いていますので、今現在株でうまくいっていない人に何か一つでも刺さることがありましたら嬉しく思います。
ありがとうございました。
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