ペアトレードという言葉を初めて聞く人向けに、解説動画を作りました。組み合わせ銘柄やペアトレードと近い手法も紹介しているので、トレード手法を増やしたいは必見です。
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ペアトレードとは?
ペアトレードとは、相関関係が高い2つの銘柄の差額の変動を利用して収益を上げる投資手法です。
同じ業種(セクター)の銘柄は比較的似た動きをします。その中で価格差が開いた銘柄があれば、下げている銘柄を買って、上げている銘柄を空売りします。そして価格差が閉じたタイミングで買いと空売りのポジションを決済することで利益を狙います。
ペアトレードは張り付いて相場を見る必要がありません。そのため専業トレーダーはもちろん、兼業投資家でも実践できる投資手法です。
HYPER SBI2の比較チャートを使用
SBI証券HYPER SBI2の比較チャートです。比較チャートでは複数の銘柄を選択し、同期間の中で始点から各銘柄の値上がり率がどのように推移したかを表示させます。ペアトレードにはぴったりの機能です。
上画像では電力会社の関西電力と四国電力の比較チャートを表示しています。半年前の始点を100として、各銘柄の価格推移がわかります。
一番価格が離れたタイミングである赤〇の2023年9月中旬頃に四国電力を買って、関西電力を空売りします。そして価格差がなくなった2023年11月頃に両方のポジションを決済すれば、利益となります。
ものすごくざっくりとした計算ですが。赤〇のタイミグでは両銘柄の価格差は約30ポイントあります。ポジションを決済する青〇のタイミングでは価格差が約5ポイントまで縮まっています。このことから赤〇でペアを組んで、青〇で決済すれば約25ポイントの鞘を抜けることがわかります。
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ペアトレードのメリット
ペアトレード手法がどんなものかわかっていただけましたか?ここからはペアトレードのメリットについて紹介します。
日経平均に左右されない
株式投資って結局は日経平均の上げ下げで値動きが決まるから銘柄選別なんて意味がない。なんて考えたことはありませんか?勉強して調べものして優良銘柄を買ったとしても、日経平均が1,000円下げたら良い銘柄であったとしても値下がってしまいますよね。結局売買タイミングがすべてで、つまんないなあって思っている時期が自分にはありました。
しかしペアトレードであれば、優良銘柄を購入したタイミングで割高銘柄も空売りします。そうすれば日経平均が1,000円下げた場合、優良銘柄・割高銘柄ともに値下がりますよね。銘柄選別を間違えると又裂きリスク(後程解説)もありますが、割高銘柄であれば優良銘柄以上に値下がる可能性が高いです。そのためペアトレードであれば日経平均が下げた局面であっても利益を狙えます。
リスクが低い
買いと売りの金額を常にフラットにしているので、評価損益が大きく増減する可能性が下がります。要するにペアトレードはリスクが低いということです。日経平均の動きを気にせず持っている個別株だけに集中すればいいので、株価や指数を常にチェックする必要もありません。自分なりのペースで投資と向き合えます。
売買タイミングをそれほど気にする必要がないので、銘柄選別の能力さえあればじわじわとお金を増やしていくことができます。
似た手法もモノにできる
ペアトレード手法の仕組みがわかれば、似た手法の理解も深まります。この機会に知っておいてほしい手法がいくつかあります。
- ロングショート戦略
- 裁定取引
- イベントドリブン
イベントドリブンだけは毛色が違うのですが、考え方に関しては似ている部分があるので紹介しています。詳しいトレード手法は記事の後半でご紹介します。3つの手法を学ぶ上で参考になる書籍を3冊紹介しています。
ペアトレードのデメリット
続いてはペアトレードのデメリットについてです。
常にフラットなので大勝は難しい
メリットは見方を変えるとデメリットにもなります。ペアトレードは買いと売りの金額がフラットなのでリスクは低いですが、その分大勝も難しいです。買いポジションだけなら日経平均が上昇したり特定の業種が買われたりすれば、持ち株も上昇して大きな利益となります。
しかしペアトレードでは空売り銘柄も上昇してしまうので、大きな利益になることは稀です。もちろん持っている銘柄に好材料や悪材料が出れば話は別ですが。
安定して毎月プラスを積んでいきたい人には向いている手法です。ですが大きな利益を狙いたい人にとってペアトレードはおすすめできません。
又裂きリスクがある
又裂きとは買った銘柄が値下がり、空売りした銘柄が値上がることを指しています。ペアトレードで一番のリスクがこの又裂きです。銘柄選別を間違えると又裂きは起こりますが、ペアトレードで完全に防ぐことは難しいです。
価格差が開いたことでさらにチャンスと思いポジションを増やしたくなりますが、個別株に悪材料が出た場合等は価格差が戻る可能性は低いです。又裂きが起きた場合は自分なりにルールを決めて、損切りすることも視野に入れておくべきです。
空売り銘柄はミスると一撃死
空売りはリスクがとても高い行為です。銘柄選別をミスると投資金額の数倍の損失となる可能性があります。
空売りで大損を避けるために時価総額の低い銘柄は空売りしないようにしてください。時価総額の低い銘柄だと1つの好材料で連日ストップ高張り付きとなり、損切りしたくてもできない状態となるからです。
基準は人それぞれですが、空売り銘柄は時価総額500億円以上の銘柄限定にするべきです。
上昇相場で儲からない可能性
ペアトレードは下落相場だからといって損することはありません。でも逆に上昇相場だからと言って儲かることもありません。これは人によっては結構なストレスです。上昇相場で周りが儲かっているのに自分が損をして耐えられない人には、ペアトレードは向いていません。
資金とコストが2倍掛かる
常に買いと売りのポジションを作るので資金が必要ですし、売りのポジションを作ることで貸株料や場合によっては逆日歩のコストがかかります。現物で買いのみであれば、今は楽天やSBIだと手数料が無料なのでコストは一切かかりません。この差は正直結構大きいです。
例えば金利や貸株料が1%だった場合、3,000万円のポジションを作って持ち続けた場合は年間で30万円のコストがかかります。
ペアトレードの基本ルールと注意点
ここからはペアトレードの具体的な売買ルールを解説します。ペアトレードでは比較チャートが必要です。比較チャートはSBI証券のHYPER SBI2で使えるのでSBI証券の口座開設をしてください。
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買いと売りの金額は同額に
ペアトレードでは買いと売りの金額を同額にしてください。慣れてきたら自信があるポジションの資金を多めにすることもありますが、基本は同額です。
- 指数(日経平均)が強いor弱い時
- 買いor空売りしているどちらかの銘柄に自信がある
こういう場合は買いか空売りに資金を傾けるのは1つの戦略となります。ただし何度も言うように基本は同額にしてください。
新規建と処分は同タイミングで
ペアトレードという名前の通りペアを組むわけですから、ポジションを作る時と決済する時は同じタイミングにしてください。
ただしこちらも応用で、売買タイミングをずらす手段もあります。例えば評価損銘柄を損切りして、評価益銘柄をできる限り利益を伸ばすとか。他にも分割売買を活用して、数回に分けてポジションを作ったり処分したりする手段もあります。
こうすることで利益額を増やしやすくなりますが、市場が閉じている夜中に日経平均が動いた場合は裏目ることもあります。なので片方だけのポジションを残す場合は、外部要因での負けをなくすために遅くても引けまでに利食いをしてください。
絶対にやってはいけないのが、評価益銘柄を先に利食いして評価損銘柄を残すこと。こういうトレードをしている人が株で勝つことは難しいです。株式投資で勝つ為には損小利大が基本なので、評価損銘柄を残すことはNGです。
組む銘柄は同業種が簡単
ペアトレードで一番簡単なのは同業種の銘柄でペアを組むことです。同業種の銘柄は楽天証券のスーパースクリーナーが見つけやすいです。
スーパースクリーナーで業種選択し、出てきた銘柄を比較チャートで1つずつチェックしてください。そして相関関係の高い銘柄が見つかればペアで組むことを検討してみてください。
ペアを組む際はチャートのみで判断するのもありですが、あと2点を調べた上でポジションを作るとより儲かりやすくなります。
- 業績
- 空売り比率
業績が良い銘柄は株価が上がりやすいですし、その逆も然りです。当たり前ですね。業績が良い銘柄は短期的に下げてもいずれ株価は戻しますので、ペアで組む際は買った方がいいです。
また空売りしている人が多い銘柄は、株価が下げても売り方が買い戻してくるので株価は下がりづらいです。空売り比率の高い銘柄だと逆日歩リスクもあるので、空売りは避けた方がいいでしょう。
為替や指数と組むのもあり
ペアトレードは個別株だけで組むのではなく、為替や指数とペアを組むのもありです。例えば日本を代表する銘柄の1つであるトヨタは日経平均と連動しやすいです。トヨタと日経平均の約1年間の日足チャートを見ると似た動きをしていることがわかります。
トヨタと日経平均を比較チャートで見ると、似た動きをしていても価格差の出るタイミングはあります。5月頃に価格差が開いていますが7月に一度収束しています。その後トヨタに買いが入ったことで9月頃から価格差が大きく開いています。
今回はトヨタを例に出していますが、日経平均と連動しやすい銘柄は他にもあります。また、日経平均と組む場合は、日経225先物もしくは日経平均に連動するETFを売買してください。
逆日歩のリスクとコストについて
空売りする銘柄は逆日歩が発生していないか必ず調べてください。そして逆日歩が発生している場合は空売りをしないようにしましょう。理由は2点あります。
- コストがかかる
- 株価が下がりづらい
逆日歩が発生している間は毎日コストがかかり続けます。数日でポジションを処分するのであれば割り切って空売りするのもありですが、長く持つのであればコストは大きいです。
また空売りは将来の買い需要なわけで、逆日歩が発生している銘柄は単純に株価が下がりづらいです。株価の下落を狙って空売りするわけですから、下落しづらい銘柄をわざわざ空売りする必要はありません。寧ろ高値圏とは言え、売り方の踏み上げを狙って買いで入るという選択もありです。
逆日歩については日本証券金融株式会社 貸借取引情報のサイトで確認できます。
空売りは時価総額500億以上にする
何度かお伝えしていますが空売りはリスクの高い行為です。やり方を間違えると一撃死…投資資金をすべて失う可能性があります。何より避けるべきなのは時価総額の低い銘柄です。
時価総額の低い銘柄を空売りすると、好材料1つで連日ストップ高になる可能性があります。ストップ高に張り付かれると損切りしたくてもできず、最悪株価が数倍になるまで買い戻せないこともあります。
こういう事態を避けるために空売り銘柄は時価総額500億円以上にしてください。時価総額が500億円を超えると、好材料が出てもそう簡単にストップ高にはなりません。なったとしても、連日張り付くことはまずありません。空売りで大きな損失を防ぐためにもここは徹底してください。
買いは現物でコストを小さくする
信用取引は持っているだけで金利や貸株料のコストがかかり続けます。コストを少しでも小さくするために、資金に余裕がある場合は買いポジションを現物で持ちましょう。今は楽天証券やSBI証券だと売買手数料が無料なので、現物で持っておけば投資をする上でコストは一切かかりません。
投資におけるコストは2,3回のトレードだと数十円~数百円と小さいです。しかし数十回・数百回とトレードをすると数万円~数十万円と大きなコストとなります。投資で勝ち続けるためにはコストを少しでも小さくしていく工夫が必要です。
ペアトレードの組み合わせ例を紹介
ペアトレードの組み合わせ例を1つ紹介します。この組み合わせ例をそのまま真似するのではなく、自分だけの組み合わせ例を見つけるための参考にしてください。
ソフトバンクと日経平均(日経225先物)
9984ソフトバンクは日経平均寄与度の高い銘柄なので、日経平均とペアを組むのに適しています。ソフトバンクと日経平均の1年間の日足チャートを確認してみましょう。お互いのチャートを見ると、ソフトバンクは2023年3月頃に株価が下げているのに対し、日経平均が右肩上がりに上昇していることがわかります。
続いてはソフトバンクと日経平均の1年間の比較チャートです。個別チャートで見たように、2023年3月頃に価格差が開いていることがわかります。このタイミングでソフトバンクを購入し、日経平均を空売りします。日経平均の空売りは日経225先物もしくは、日経平均に連動するETFのどちらかにしてください。
そしてしばらくポジションを持ち続けて、価格差が閉じたタイミングである7~8月頃に両方のポジションを外せば利益となります。
当然ながら毎回上手くいくとは限りません。次の画像はソフトバンクと日経平均の5年間の比較チャートです。2021年頃にソフトバンクが大きく上昇し価格差が2倍近くになっています。
ペアトレードでは価格差が開くほどチャンスと思ってナンピンをしたくなってしまいます。しかし、価格差が開きすぎた時に損切りすることを考えておかないと、大きな損失となるので注意が必要です。
自分だけのペアをたくさん見つける
何度かお伝えしているように、自分だけのペアをたくさん見つけていくことが大切です。ペアトレードは1回のトレードで数ヵ月持ち続けることもあります。そのため、組み合わせが少なければ売買回数も少なく、上手くいったとしてもたいした利益にはなりません。
なので組み合わせをたくさん見つけてください。組み合わせが増えれば増えるほど収益チャンスが増え、銘柄や売買タイミングを間違えなければ利益となっていきます。
ペアトレードと似た投資手法
以上がペアトレードの紹介でした。ペアトレード手法を知ることで、投資の幅が広がります。ここからはペアトレードと似た投資手法を簡単に紹介していきます。
ペアトレードはちょっと自分とは合わないかなと思った方も、これから紹介する3つの手法のどれかは「おっこれは実践してみたい」と思えるかもしれません。
ロングショート戦略
ロングショート戦略はその名の通り買い(ロング)と売り(ショート)でポートフォリオを組みます。ヘッジファンドがよくやるトレード手法です。ペアトレードと同様に買いと売りどちらのポジションも作りますが、決定的な違いはペアで組む必要がないことです。純粋に上がると思った銘柄をロングし、下がると思った銘柄をショートします。
- 本当に上がると思った銘柄をロング、下がると思った銘柄をショートできる
- ロングとショートの資金比率を相場に合わせて調整できる
- 上手くやればどんな相場でも安定して資産を増やし続けられる
ロングショート戦略の強みは安定して資産を増やし続けられる点です。買いポジションしか作っていない人は上昇相場で大きく儲かりますが、下落相場だと大損する可能性があります。ロングショート戦略であれば大勝も狙えますし、下落相場でもポジションを調整して利益を狙えます。
買いと売りのどちらのポジも作るので難易度の高い手法ですが、専業を目指す人は選択肢に入れるべき投資手法の1つです。
裁定取引(アービトラージ)
裁定取引(アービトラージ)とは、同じ価値をもつ商品の一時的な価格差が生じた時に割高なほうを売って割安なほうを買い、その後ふたつの価格差が縮小した時点で反対売買を行って利益を得る投資手法です。
「似た商品」ではなく「同じ価値をもつ商品」というのが大切なポイントです。裁定取引では個別株式を扱うことは基本なく、先物やETFをトレードします。
例えば1329のiS225は日経平均株価と連動した動きをします。連動すると言っても、瞬間的に割安や割高になることがあります。例えばiS225が割安になったタイミングがあれば、iS225をロングし、日経225先物をショートします。そしてiS225が適正株価に戻ったタイミングで反対売買すれば利益となります。
価格差はごくわずか
iS225と日経平均株価の比較チャートです。
比較チャートを見てわかるように価格差はごくわずかです。このわずかな価格差を利益に変えていくので、裁定取引は資金量が必要なトレードです。また、常時相場を見る必要があるので、兼業投資家には手を出しづらい手法です。
裁定取引は書籍を読んで学ぶのが一番の近道です。興味を持った方には以下の書籍をおすすめします。
イベントドリブン
イベントドリブンはペアトレードとはまったく違う投資手法ですが、共通点が多いので紹介をしています。
- 兼業投資家でもできる
- 上げ相場や下げ相場に左右されない
- 出口戦略(利食い・損切り時)がはっきりしている
- こつこつと利益を積み重ねられる
- 自分だけのイベントを見つけられる
以上がイベントドリブンとペアトレードの共通点とおすすめしたい点です。ペアトレードに興味を持っている方はイベントドリブンにも興味が沸くはずなので、この機会に学んでみてください。
スタバ株は1月に買え!という書籍を読んだことはありますか?株主優待株は権利日前に株価が上昇しやすく、権利確定後は株価が下落しやすい特徴があります。これは株主優待を欲しい投資家が権利日前に購入し、権利を確定したら売却するからです。
このように、株式投資の世界では一時的に需給が歪むことがあります。イベントドリブン…イベント投資ではこの需給の歪みを利益の源泉としています。M&A、TOB・MBO・公募増資・立会外分売・不祥事・事件事故・震災やスポーツ大会などと需給の歪みは多種多様にあります。
自分だけが知っているイベント探しをしていくことで、安定して利益を積み重ねられます。興味を持った方はイベントドリブントレード入門を読んで、イベント投資の基本を学んでみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。ペアトレードはコツコツと利益を積み重ねたい人にぴったりの投資手法です。日経平均にも左右されず、自分のペースで投資と向き合えます。日経平均の上げ下げに振り回されて疲弊している人は一度チャレンジしてみてください。
また、ペアトレードと似た投資手法として、ロングショート戦略、裁定取引、イベントドリブンの3つを紹介しています。この3つの投資手法はペアトレードと似つつも違いがはっきりとあります。この3つのどれかに興味を持った方はそちらの投資手法もぜひ実践してみてください。
こちらの記事を読むことで投資手法が増え、投資の幅が広がれば嬉しく思います。
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